都市伝説・不可思議情報ファイル

    カテゴリ:師匠シリーズ


    469 名前:鍵 投稿日:03/04/29 22:29

    僕のオカルト道の師匠は当時家賃9000円の酷いアパートに住んでいた。 
    鍵もドラム式で掛けたり掛けなかったりだったらしい。 

    ある朝目が覚めると見知らぬ男の人が枕元に座ってて 
    「おはようございます」 
    というので 
    「おはようございます」と挨拶すると 
    宗教の勧誘らしきことをはじめたから 
    「さようなら」といってその人おいたまま家を出てきたという逸話がある。 

    防犯意識皆無の人で、僕がはじめて家に呼んでもらった時も当然鍵なんか掛けていなかった。 

    470 名前:鍵 投稿日:03/04/29 22:29

    酒を飲んで2人とも泥酔して、気絶するみたいにいつのまにか眠っていた。 
    僕が夜中に耳鳴りのようなものを感じて目を覚ますと、横に寝て 
    いた師匠の顔を除き込むようにしている男の影が目に入った。 
    僕は泥棒だと思い、一瞬パニックになったが体が硬直して声をあげることもできなかった。 
    僕はとりあえず寝てる振ふりをしながら、薄目をあけてそっちを凝視していると男はふらふらした足取りで体を起こすと玄関のドアのほうへ行きはじめた。
    『いっちまえ。何も盗るもんないだろこの部屋』 
    と必死で念じていると男はドアを開けた。 
    薄明かりの中で一瞬振り返ってこっちを見た時、右頬に引き攣り傷のようなものが見えた。 
    男が行ってしまうと僕は師匠をたたき起こした。 
    「頼むから鍵しましょうよ!」もうほとんど半泣き。 

    471 名前:鍵 ラスト 投稿日:03/04/29 22:30

    しかし師匠とぼけて曰く 
    「あー怖かったー。でも今のは鍵しても無駄」 
    「なにいってるんすか。アフォですか。ていうか起きてたんすか」 
    僕がまくしたてると師匠はニヤニヤ笑いながら 
    「最後顔見ただろ」 
    頷くと、師匠は自分の目を指差してぞっとすることを言った。 

    「メガネ」 

    それで僕はすべてを理解した。 
    僕は視力が悪い。眼鏡が無いとほとんど何も見えない。 
    今も間近にある師匠の顔でさえ、輪郭がぼやけている。 
    「眼鏡ナシで見たのは初めてだろ?」 
    僕は頷くしかなかった。 
    そういうものだとはじめて知った。 

    結局あれは行きずりらしい。何度か師匠の部屋に泊まったが 
    2度と会うことはなかった。

    僕がド田舎から某中規模都市の大学に入学した時。 
    とりあえず入ったサークルにとんでもない人がいた。 

    大学受験期にストレスからかやたら金縛りにあってて 
    色々怖い目にあったことから、オカルトへの興味が高まっていた時期で、そんな話をしているとある先輩が 
    「キミィ。いいよ」と乗ってきてくれた。 

    その先輩は院生で仏教美術を専攻している人だった。 
    すっかり意気投合してしまい、見学にいったその日の夜ドライブに連れて行ってもらった。 

    夜食を食べに行こうと言って、えらい遠くのファミレスまで連れていかれた。 
    そこは郊外のガストで、「なんでここなんですか?」って表情をしてたら先輩曰く 
    「ここな、出るよ。俺のお気に入り」 

    アワアワ… 

    453 名前:師事 続き 投稿日:03/04/29 21:31ファミレス自体始めての田舎者の僕は、それでさえ緊張してるのに出るってアンタ。 
    「俺が合図したら俯けよ。足だけなら見えるはず」 
    そんなことを言われて飯が美味いはずがない。 
    もさもさ食ってると、急に耳鳴りが・・・・・ 
    冷や汗が出始めて、手が止ると先輩が 
    「オイ。俯けよ」 
    慌ててテーブルに目を落した。 
    しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると視線の右端、テーブルのすぐ脇を白い足がすーっと通りすぎた。 
    いきなり肩を叩かれて我に返った。 
    「見たか?」 
    リングの公開前だったが、のちに見ると高山が街で女の足を見るシーンがこれにそっくりだった。 

    454 名前:師事 ラスト 投稿日:03/04/29 21:32僕が頷くと 
    「今のが店員の足が一人分多いっていう このガストの怪談の出所。 
     俺はまるまる見えるんだけどな。 顔は見ない方が幸せだ」 
    なんなんだ、この人。 
    「早く食べろ。俺嫌われてるから」 
    俺もわりに幽霊は見る方なんだが、こいつはとんでもない人だと 
    この時自覚した。 

    そのあと空港へ向う山道の謎の霧だとか、先輩お気に入りの山寺巡りなどに連れまわされて、朝方ようやく解放された。 
    以来俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。 
    それは師匠の謎の失踪まで続く。

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